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「節税」って何だろう?

2023.12.01

税務・会計

こんにちは。毎日だいぶ寒くなってきましたね。子供の頃と比べて、年々寒さに弱くなってきた気がしますがそういうものなんでしょうか。

さて、今日は節税の話です。

顧問先様との初回面談などでは「少しでも税金を抑えたくて」という言葉が出てきます。事業の資金繰りを考えれば至極当然のお言葉です。

僕自身個人事業主の端くれですから、払う税金は1円でも安くしたいと考えます(国税通則法に基づき、税金は100円未満切り捨てなのですが。笑)。

ところが、税金を払いたくないからといって、売り上げを過少に申告したり、必要経費を過剰に計上して申告したりすれば、それば「脱税」です。

この「節税」と「脱税」と「租税回避」は税法学でもしっかりと区別される学術的なお話でもあります(今回は省略しますが)。

簡単に言えば「節税は適法」、「脱税は違法」、「租税回避は違法ではないが不当」と区別されます。

今回はそのうち「節税」についてお話します。しばしば相談を受けた際、「節税をしたくて・・・」と言われ、よくよく聞くと「それは脱税になっちゃいますね」という話があります。経費にならないものを経費にしようとしたり、計上すべき売り上げや収入を除外しようとすると「脱税」になります。

では、適法な「節税」とはなんでしょう。

例えば、個人の確定申告でふるさと納税を行い、寄付金控除を行い返礼品をいただけば、返礼品の分だけ(正確には返礼品の価値-2,000円となることがほとんど)節税をすることができます(得をします)。

限度はありますし、効果はわずかですが、確実に返礼品というわかりやすいリターンがあります。

ただ、ほとんどの経営者の方が求めるのは「数百万、数千万の利益に基づく税金をゼロにする」ような手法を求められます。

このような場合、よく見るのは「社長用に高い乗用車を買う」「保険商品を買う」といった手法です。確かに、その年の課税所得は少なくなり、支払う税金も少なくなります。

さて、その結果、「儲かった儲かった」となるのでしょうか。

そうではありません。預金通帳を見てみると預金残高は確実に減っているはずです。

車を買えばそのお金は車屋さんに、保険商品を買えば保険屋さんにお金が行くわけですから当然です。

資金繰りの点から考えると、これはあまり好ましい状況ではありません。固定資産(車)も保険商品も現金化するのに時間もかかりますし、多くの場合で目減りしてしまいます。

事業を大きくしていこうというビジョンがあれば、稼得した利益が同様に目減りしてしまうという結果になったとしても、手元資金をなるべく多く残し、事業に投資(仕入れや営業活動)に回したほうが将来のより大きなスケールでの利益獲得につながると考えられます。

税金を払いたくないがために非効率な資産の購入をしたり、将来に利益を繰り延べるといった手段は、結果的に資金繰りに悪影響を及ぼし、健全な企業の成長を妨げる結果となってしまうと思います。

つまり、得てしまった利益に対する「節税」というのは「浪費」と「利益の繰り延べ」になってしまうことがほとんどなのです。

ただし、確実に翌期に必要な少額固定資産の購入をし、経費化するなど、効率的な支出もありますので、一概に言えることではありませんが、常に資金繰りに対する注意は必要です。

私たち税理士は納税者有利となる税制をチェックしており、経費となる支出を最大限もらさず計上することで依頼者が必要以上の税額を納めないよう努力します。

使える税制や、補助金があれば提案して参ります。

ただ、せっかくの企業努力により得た利益は、経営者により、もっと大きなスケールの営業活動に投資することが正しい投資のように思います。