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日本酒の話(無濾過生原酒)

2024.01.22

日本酒

税金とは全く関係のない話(しかもマニアックで長い)。

僕の趣味の一つに「日本酒」があります。

飲むのはもちろん、知識を深めることにもかなり本気で取り組んでいます。

趣味が高じて、税理士会の研修合宿で研修講師を務めたこともあります。実は、開業税理士として初めての収入はこの研修講師の講師料でした。

さて、日本酒に興味のある方は少ないと思いますが、お酒の選び方の難しさとして、ラベルの記載の難しさがあると思います。

なんとなく「純米大吟醸」と聞くと「いいお酒なんだろうなー」というイメージがある方もいるかもしれませんが、これは日本酒の製法にしか過ぎず、味わいを示すヒントとしては一部に過ぎません。

そこで、僕おすすめの選ぶべき日本酒ワードをご紹介します。

それは「無濾過生原酒」という6文字。よく冗談で「戒名にしたい」と言っています。笑

この6文字がどういった意味を示すか、かいつまんでご説明します。

まず、「生」から。日本酒を製造工程の最後の方に、「上槽」という工程があります。作った日本酒を搾る作業です。

元々日本酒は固体部分と液体部分が混ざった状態で出来上がります。この固体部分と液体部分を分離させる工程が「上槽」です。

そして、この上槽を終えた後、日本酒の中に生きている微生物である酵母や雑菌を加熱処理により殺菌し、味を安定させる「火入れ」と呼ばれる工程が行われます。この火入れは上槽したときと、出荷する前の2度行われます。

一度だけ火入れしたものは生貯蔵酒(出荷の直前だけ火入れ)とか生詰め酒(上槽の直後だけ火入れ)などと呼ばれますが、どちらも火入れしていないだけが「生」の一文字で表現されます。

スーパーなどで安く売られている「生」の文字はよく見ると生貯蔵酒が多いですね。

次は「原酒」について。原酒は考え方としてはわかりやすい考え方で、「加水をしていないお酒」というものになります。日本酒はアルコールが22度(%)未満のものを指すのですが、生酒は大体16−17度でできあがります。多くの日本酒は20度くらいの原酒に水を加え、調整し14−15度くらいにして出荷されます。この加水の工程が行われないものが「原酒」です。

加水の目的は味わいの調整とされていますが、経済的な面もあるのではないでしょうか(ここは想像)。

そして、次は「無濾過」について。日本酒は上槽を経て、フィルターなどで濾過をして、雑菌を除去したりします。

この濾過をしないと、風味が損なわれず、日本酒そのものの味わいを楽しむことができるのです。

ちなみに酒税法上の取り扱い(ギリギリねじ込んだ税の話)としては「米、米麹を原料として発酵させて濾過をした酒類で、アルコール分が22度未満のもの」という定義がありますが、この「濾過」は上槽という分離作業そのものを指すので、無濾過生原酒の無濾過とは別物です。

つまり、無濾過生原酒は火入れをせず、加水もせず、フィルターなどで濾過もしていない、「無調整」の酒です。なので日本酒本来の味を感じることができるのでおいしいのです(個人の感想)。

ただし、火入れも、濾過も、酒蔵が歴史の中で培ってきた高度な技術です。

火入れの文化は、西洋のワインにもありますが、その何百年も昔から日本人は火入れの文化を作り上げています。

この火入れの作業により、衛生面で安定した品質の酒を作ることができています。まさに先人の知恵。

なぜ、僕が今日この話をしたのかというと、お客様から日本酒をいただいたからです。

なんでもいっておくものです!

そしてこのラベルをご覧いただくとわかります。

「槽場直汲生原酒」

この文字が表すのは「上槽する場所で無濾過で直接汲み取った、加熱もフィルター調整もしていない酒」ということです。お魚でいえば「活〆したお刺身」のような無濾過生原酒のお酒です。

日本酒の酵母も発酵の際に炭酸ガスを発生させるので、シュワっとした感覚があります。

かなーり質の良い日本酒をいただくことができました。

以上、日本酒の話でした。税金の話よりも饒舌でしたね。笑